聴講メモ ”ゼロから学ぶ!市民のための太陽光発電 標準化セミナー”
2015/12/20
<趣旨>
FITには頼らない太陽光発電システムを推進するために標準化というものを考えていきたい。
国の目標とする標準化とは
太陽光発電システムの信頼性確保、コスト低減を行うために行う。
標準化によって安全で簡易的な施工を行うことで、目的を達したい。
=>机上論理になってしまう危険性がある。
今回のテーマ
・市民(ユーザ)側からの視点での標準化について考えていきたい。(今回の議題)
・専門家の視点と一般ユーザ(市民)が原則と現実のかギャップを埋めていければ良いのではないか。
■よくわかる標準化
標準化とは、工業においては形、大きさ、品質などを決めていくことを足ます。
自由にしていると多様化、複雑化、無秩序化してしまうので、少数化、単純化、秩序化します。
工業製品における標準化は利便性、統一性、公平性を図っています。
太陽光発電システムにおける標準化
メーカーの論理 他社製品が入り込めないような戦略をとりたい。
自社製品を有利になるようにしたい。
よって、独占化していきたい。
ユーザの論理 自分で製品を選んでいきたい。
できるだけ良いものを安く買いたい(企業間競争をしてほしい)
太陽光発電に関しては、ユーザからの興味としては、どれだけ発電するのか?、何年発電するのか?
、結局どの製品が良いのか?、どう設計すれば良いのか?、どう施工するのか?、どうメンテするのか?
など。
発電性能は世界4カ国の測定データが同じになるよう調整を図っている。
例えば、保証に関しては、信頼性を高める部分でも標準化を図っている。
例)太陽光パネルの保証(メーカー保証)
保証とは何を保証しているかの定義がない。
無償保証の無償の範囲は?(工事費は?輸送費は?)
20年間などの会社存続があるか?
標準化のジレンマ
基準が低すぎると粗悪品が市場に出回るが、高すぎると高価になる。
企業は独自規格を内部で定めている。
企業理念によって、ギリギリ通れば良いと考えている会社と自社で高い品質を持っていることをアピールしたい企業などがあるため、標準化だけで測れない部分もある。
品質保障システムに関してはこのような標準化を進めている。
・どうやって作り方を決めているか?管理しているか?
・アフターセールスについて、施工方法の伝え方、事業継続できなかった場合の対処法は?など
消費者からの立場では。。。
・標準化について理解してほしい。
・企業は経済性を考えてしまうため、規格に対して不満、要望を伝えてほしい。
=>バランスの良い規格になっていくのではないか。
規格をしっかり作っていくことによって安く良い製品が増えてくる、また品質の良い日本製品の評価が高まるなどビジネスチャンスが増えてくるのはないか。
■太陽光発電システム標準化の現状と課題
標準化に関しては3種類の進め方がある。
・デジュール標準(公的標準)
・フォーラム標準(企業間で定めた標準)
・デファクト標準(事実上の標準)
太陽光発電システムではJIS標準規格がありデジュール標準である。
太陽電池モジュールでは
電気的性能、機械的性能、耐候性、耐衝撃、火災危険、切断性、表示内容などについて標準化が済んでいる。
ただ、変更は逐次行っている。
他、パワーコンディショナ、接続箱、ケーブルなど様々な標準化を行っている。
標準化においては
JET,tuv,UL,VDE,JIS,JEMAなど様々な団体と企画があるので、それぞれの規格と団体の関係性も把握しておくと良さそう。
■「太陽光発電設備」の構造面から診た=現状と標準化の動き=
JIS C 8955 太陽光発電アレイ用支持物設計基準について
風量被害のあった例を見ても、構造(風速)計算として設計が足りなかったのかもしれない。
建築物の場合、稀に起こる災害(地震、暴雪など)に対して損傷させない、倒壊させないという要求をされているが、太陽光発電システムについては稀に起こる災害については損傷を限定的、破壊させない、飛散させない(他者に迷惑をかけない)のような使い分けが必要になってくるのではないか。
風荷重に関する課題
・現在、JIS C 8955の風力係数では過小な風荷重を与えることが指摘がされている。
・風力係数のデータの充実
・ケーブル、接続箱などの風荷重に与える影響が不明
・荷重レベル(許容体力レベル、限界体力レベルなど)の位置付けの明確化
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